「真さま」
「……小春さん」
一組の男女が、薄暗い部屋の中で向かい合っていた。
蝋燭が一本だけ灯され、お互いの顔がぼんやりと浮かぶ。
男は女の肩にそっと手を伸ばし、静かに抱き寄せた。
「小春さん、良いのですか。あなたはまだ、」
「真さま」
男の台詞を、女が遮った。
ゆるやかな笑みを浮かべて、男に応えるように背中に腕をまわす。
「わたくしは、後悔なんてしませんわ。こんなにも、あなただけが愛しいのですもの」
女の穏やかな笑みとは対照に、男は苦しげな表情を浮かべる。女を抱く腕に、力を込めた。
「小春さん。あなたのことが、愛しくて愛しくてたまらないんだ。どうしたら、この想いをすべて君に伝えられるだろうか」
「簡単なことですわ、真さま。わたくしもまた、あなたのことが愛しくてたまらないのですから」
「小春さん、」
切羽詰まったような男の声。
ふたつの影が、重なったまま畳に倒れる。
男が、蝋燭の明かりを消した。
「ねえ、真さま。罪だって、ふたりで背負うのなら愛しいものですわ」
甘く甘く、女が囁いた。


咎だと知りながら






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20080703