最果てへの片道切符
なんでを好きになったの? かつて3人で食事をしていたときに彼の妹が聞いた。
「うーん一目惚れって言ったら胡散臭く思われそうで嫌なんだけど、出会った瞬間に思ったんだよね。“ああこの人が僕の運命だ”ってさ」
本当のところ彼らが“彼らの生まれ変わり”なのか、それとも“並行世界においての彼ら”なのか、あるいはもっと違う何かなのかは分からない。あの世界においての記憶は、の中でも夢だったのではないかと思うほど日に日に遠く曖昧になっていっている。それでも今の彼らとの関係性は今いる世界で一から築いてきたもので、信じられる絆であるのは間違いなかった。
そしてやってきた婚約パーティー当日。結婚式本番なんじゃないかっていうくらいたくさんの人から祝福の言葉をもらって、その度にもパートナーの男も笑顔でお礼を告げる。
何人かの参加者と談笑していると、少し遠くから「あ、いたいた」という声が聞こえてきた。
「兄さん! !」
「リナリー」
彼の妹だった。どうやら学校の友人を連れてきてくれたらしい。既に会ったことのある黒髪の少年と橙色の髪の少年の他にもう一人、そこには茶髪の少年が少しだけ居心地悪そうに立っていた。“会ったことのない”少年。しかしはその顔を見て息を飲んだ。
「紹介するわね! 最近転校してきたアレンくん。アレンくん、コムイ兄さんと婚約者のよ」
「あの、なんか僕まで招待してもらってすみません。初めまして、アレン・ウォーカーといいます」
少年は「ええと」と指先で頬を掻いて、それから笑顔を浮かべた。
「お二人の婚約パーティーと伺いました。婚約おめでとうございます」
あまりに平凡で、あまりに普通の子ども。当たり前の幸せを享受して生きているだろう少年の言葉に、ぽろりとの瞳から涙がこぼれた。祝福の言葉を告げた少年はぎょっとして慌てだす。
「え!? あの僕なにか失礼なことを……!?」
「ち、違うの。……ごめんなさい、ちょっと幸せ過ぎて……」
言いながら涙を止められないでいるに婚約者の男がハンカチを差し出す。はそのハンカチを受け取ると目尻にそれを強く押し当てて涙を拭い、それから幸せそうに微笑んだ。
「ありがとう。それから初めまして」